カルダモンだもん

Cardamom - damon

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カルダモンの挽き方

カルダモン
ホールのカルダモンの挽き方を紹介します

1. はじめに

カルダモンロールなどのお菓子にホールのカルダモンを使う場合、あらかじめカルダモンを細かく挽いておく必要があります。しかし、カルダモンの種子は硬く、なかなか挽くのが大変です。ここでは、カルダモンの挽き方を紹介します。

日本で入手可能なカルダモンには、ホール(莢[サヤ]付き)のものと、あらかじめ細かな粉末にされたものの2種類がありますが、お菓子などに使うには断然ホールのほうがおすすめです。ホールから挽いた直後のカルダモンと、あらかじめ粉末にされたものとではその香りに大きな差があります。ホールから挽いたものは、柑橘系のさわやかな風味をもっていますが、この香り成分は揮発しやすいようで、あらかじめ粉末にしたものからはほとんど感じることができません。カルダモンを挽くのは少し手間ではありますが、カルダモン本来の香りを楽しむためにも、ぜひホールのカルダモンを挽くことにチャレンジしてみてください。

カルダモンをホール(莢[サヤ]付き)の状態で購入した場合、それを細かく挽くためには2つのステップを経る必要があります。まず莢(以下分かりやすく「殻」と記します)をむいて中の種子を取り出し、次にその種子を目的に応じた粗さにすりつぶします。以下ではその各ステップごとにいくつかの方法を紹介します。

ホールのカルダモン1個あたりの重さは0.1~0.3gで、中に入っている種子の重さはその2/3程度となります。小さじ1杯のカルダモンが必要な場合、ホールのカルダモンが20~25個程度必要となります。

2. 殻をむいてカルダモンの種子を取り出す

まず、カルダモンの殻をむき、中の種子を取り出します。

2.1. 手でむく

一番簡単で道具もいらないのは手でむく方法です。しっかり熟して乾燥したカルダモンであれば、手でむくことができます。指で押しつぶすか爪を立てて割れ目を入れた後、その割れ目に沿って爪を入れて殻をむきます。その後、中の種子を指先を使って取り出します。この方法でうまくむけない場合や爪を使いたくない場合には、次に紹介するハサミを使う方法がおすすめです。

カルダモンの殻をむいたところ
カルダモンの種子を取り出したところ

2.2. 料理用のハサミを使ってむく

カルダモンをハサミで縦に2つに切断した後、中の種子を指・爪を使って取り出します。種子を取り出す際にも爪を使いたくない場合はフォークの先などを使って中身を掻き出してください。ハサミの代わりに包丁を使うこともできますが、包丁を使う場合にはケガをしないよう十分注意してください。

ハサミでの切断
包丁での切断

2.3. 乳鉢と乳棒をつかってむく

カルダモンを挽くのに、乳鉢と乳棒を使う予定であれば、殻をむくのにもこれらの道具が使えます。乳鉢にホールのカルダモンを入れ、上から乳棒でたたいてカルダモンの殻を割ります。この時、カルダモンが飛び出さないよう、上を手で覆って作業してください。効率でいえばこの方法が一番いいと思います。ただし、中にはつぶれてしまってうまく割れないカルダモンもありますので、その場合は割れなかったもののみ取り出し、ハサミ等を使って殻をむいてください。種子の取り出し方は上と同じです。

乳棒で叩いて殻を割る
乳棒で叩いて殻を割ったところ

2.4. 電動ミルをつかってむく

カルダモンを挽くのに、電動ミルを使う予定であれば、殻をむくのにも使えます。詳しくは「3.3. 電動ミルをつかって挽く」を参照ください。

3. カルダモンの種子を挽く

いよいよ取り出した種子を挽きます。カルダモンの種子硬いため、すり鉢と木製のすりこぎでは歯がたちません。以下のような方法を試してみてください。

3.1. 包丁とまな板を使って細かく刻む

少し根気は必要ですが、どこの家庭にもある道具のみで力もあまりいらずに種子を挽ける方法です。まな板の上にカルダモンの種子を置き、包丁の先端を支点にして包丁の刃でカルダモンの種子を刻んでいきます。作業中は種子が飛び散らないように注意してください。また、作業を進めているとカルダモンからの油分で包丁にカルダモンがくっついてくることがありますので、その場合はたまに手で取り除いてください。

まな板に乗せたカルダモン
包丁でカルダモンを刻んだところ

3.2. 乳鉢と乳棒を使ってすりつぶす

最も伝統的な方法です。カルダモンの種子を乳鉢に入れ、上から乳棒を使ってつぶしていきます。最初は、乳棒でたたく(飛び散りに注意)か、乳棒をねじりながら上から体重をかけて押しつぶす(意外と力がいります)ようにして粉砕してください。細かな粉末状にしたい場合は、カルダモンを粗く粉砕した後、ゴマをする要領で乳棒を乳鉢にこすりつけながら細かくしていきます。

乳鉢と乳棒にはとにかく硬い材質のもの ― 硬いカルダモンの種子でも傷つかず、叩いても割れたりしない丈夫なものを選んでください。陶磁器製のものですと不安があります。私は、写真のような石の乳鉢と乳棒を使っていますが、金属製(中が中空でない鋳物)のものもよいかもしれません。

乳鉢と乳棒
乳鉢と乳棒でカルダモンを挽いたところ

3.3. 電動ミルをつかって挽く

小型の電動ミルも使えます。効率と作業の楽さは一番で、特に大量にカルダモンを挽く際に便利です。カルダモン用に作られた電動ミルはありませんので、どんなものでも使えるかどうかは分かりませんが、私は写真のようなものを使っています。金属のブレードがついていることは必須と思います。

電動ミルの使い方は、カルダモンの種子を入れてスイッチを入れるだけと簡単です。注意点としては、好みの細かさになるよう、様子を見ながら少しずつ何回かに分けてミルを回すようにしてください。

電動ミルはカルダモンの殻を割るのにも使えます。まず、ホールのカルダモンをミルに入れてスイッチを入れ、殻がある程度割れたところで一度とりだして殻と種子をより分けます。このとき、うまく割れていないものはハサミ等を使って割るか、再度電動ミルに投入して殻を割ってください。

電動ミル
電動ミルでカルダモンを挽いたところ

3.4. その他の方法

スウェーデンの鉄器ブランド、Skeppshultのスパイスミルも使っています。これは大きく上下2つのパーツに分かれています。下の容器の中にカルダモンの種子を入れ、上のパーツをかぶせて手で押しまわしてすりつぶします。少量のカルダモンを挽く時には便利です。また、このスパイスミルはカルダモンの種子を取り出す際に殻を割るのにも使えます。

Skeppshultのスパイスミル
Skeppshultのスパイスミルの構造

手動のコーヒーミルも使えます。効率的には乳鉢と乳棒を使う場合より少し楽かもしれません。このタイプのミルのメリットは比較的安いこと。Amazonなどで検索するといろいろなものが見つかります。私は写真のような回転するセラミック刃(右の写真の白い部分)が付いたものを使っています。筒の上の部分にカルダモンを入れ、紫のハンドルを手でまわすと筒の下部に挽かれたカルダモンがたまります。挽く時の粗さの調整もできます(右側の写真の黒いつまみを回して調整)。ただ、カルダモンを一度挽くとカルダモンの油分でセラミックの目に挽いたカルダモンが貼り付くため、毎回掃除が必要です(分解して刃の部分を歯ブラシなどでこすりながら水洗いしてください)。

手動のコーヒーミル
手動のコーヒーミルの構造