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プリンセストータ
Prinsesstårta

カルダモンが使われたお菓子ではありませんが、スウェーデンで最も有名なケーキ、プリンセストータ(Prinsesstårta)を紹介します。英語で言うところのプリンセスケーキ(Princess cake)、王女様のケーキです※1。

プリンセストータ Prinsesstårta
プリンセストータ(Prinsesstårta)

プリンセストータはスウェーデンのケーキ店では必ずといっていいほどよく見かけます。お祝いに食べることが多いそうですが、今ではスウェーデンのケーキ店で販売される焼き菓子の実に70%がプリンセストータとのこと※2。70%という数字はにわかには信じられませんが、スウェーデン人が大好きで日常的に最もよく食べられるケーキであることは間違いないと思います。

プリンセストータでまず目を引くのが、その色。ほとんどのプリンセスケーキは「緑色」というケーキらしからぬ色をしています。これはケーキの外側を覆うマジパン(アーモンドと砂糖を練り合わせたお菓子)に付けられた色です。オリジナルのレシピが緑色であったことから、多くの店が緑に着色していますが、ピンク、黄色、白などのバージョンもあります。

プリンセストータ Prinsesstårta
プリンセストータ(Prinsesstårta)の断面

プリンセストータは、複数の層を積み重ねたケーキです。お店によって違いもありますが、一般的には、スポンジケーキ、バニラクリーム(カスタードクリーム)、ラズベリージャム、ホイップクリームが何層か積み重ねられ、一番上が着色されたマジパンでおおわれています。

私はマジパン自体はそれほど好きではなかったのですが、このプリンセスケーキは別。甘さ控えめのクリームと、マジパンの甘さ、それにラズベリーの酸味が絶妙のコンビネーションを織りなしています。最近は日本でもたまにみかけるようになりましたが、私の一番のお気に入りは、上の写真にも使っているストックホルム「ヴェーテ・カッテン(Vete-Katten)」のプリンセストータです。ヴェーテ・カッテンについてはこちらで紹介しています。

プリンセスバーケルセ Prinsessbakelse
プリンセスバーケルセ(Prinsessbakelse)

ちなみに、円形のややドーム型に作られたものをプリンセストータ( Prinsesstårta)と呼ぶのに対し、ロールケーキのように長細い形に作られたものをプリンセスバーケルセ(Prinsessbakelse)と呼びます。お店によっては、こちらのプリンセスバーケルセが売られていることもあります(プリンセストータもしくはプリンセスケーキでも通じますが)。

プリンセスバーケルセ Prinsessbakelse
プリンセスバーケルセ(Prinsessbakelse)

※1 プリンセストータは、ホームスクール(料理などを教える若い子女のための学校)の主宰者である Jenny Åkerström が1929年に出版したレシピ集「Prinsessornas kokbok」(王女の料理本)で紹介したのが始まりです。Jenny Åkerström のスクールには、スウェーデン王女 Märtha やデンマーク王女 Margaretha なども通っていたことから、このレシピ集は王女に捧げられました。初版では単に「緑のケーキ(grön tårta)」と呼ばれていましたが、このケーキは王女たちのお気に入りであったことから、後の版でプリンセストータに改名され、この名が一般に普及しました。
https://sv.wikipedia.org/wiki/Jenny_%C3%85kerstr%C3%B6m(2020/2/29閲覧)
https://sv.wikipedia.org/wiki/Prinsessornas_kokbok(2020/2/29閲覧)

※2 https://mittkok.expressen.se/artikel/8-saker-du-inte-visste-om-prinsesstarta/(2020/2/29閲覧)