カルダモンだもん

Cardamom - damon

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カルダモンについて

2. カルダモン徒然

本章には、ホームページ開設初期に掲載していた内容、第3章以降でカバーできなかった情報など雑多なものをまとめています。

(1) カルダモンの概要

カルダモンは世界でも最も長い歴史をもつスパイスのひとつで、乾燥させた種子をスパイスとして用います。レモンやユーカリのような爽やかな香りに、わずかに甘み・苦味・辛味が加わり、インドでは「スパイスの女王」とも呼ばれています。カルダモンと呼ばれるスパイスには狭義のカルダモン(いわゆるグリーンカルダモン)と、広義のカルダモン(代表的なものはブラックカルダモン)があります(第3章)。より爽やかな香りをもつのはグリーンカルダモンのほうで、ヨーロッパでもカルダモンといえばこのグリーンカルダモンをさします。

グリーンカルダモン
ブラックカルダモン

(2) カルダモンの利用

カルダモンはカレーのほか、マサラチャイ(スパイスミルクティー)やアラビアコーヒー(スパイスコーヒー)にも欠かせないスパイスです(第4章)。お菓子の風味付にも使われ、北欧(特にスウェーデン)にはカルダモンを使ったお菓子が多くあります。スウェーデンはシナモンロール発祥の地ですが、現地ではカルダモンロールもシナモンロールと同じくらい人気があります。カルダモンロールには粗びきにしたカルダモン(お店によっては細かくひいていることも)を直接生地やフィリングに練りこんで使います。

(3) カルダモンの入手

カルダモンはインド原産ですが、現在ではスリランカ・東南アジアの他、アフリカや中南米などでも生産されています。主要な輸出国は意外にも中米のグアテマラ。私が日本でよく買うカルダモンもグアテマラ産です。栽培に手間がかかることから、カルダモンはサフラン、バニラに次いで3番目に高価なスパイスと言われています(第6章)。といっても、サフラン、バニラに比べればかなり安価で、1回あたりの使用量に換算すれば数円~数十円程度です。グリーンカルダモンはスパイス専門店やネットショップで買えば莢(サヤ)1個あたり2円程度で買うことができます。

(4) カルダモンの歴史

カルダモンは最も古くから栽培されているスパイスのひとつで、2000年以上の歴史があります(第7章)。カルダモン好きな北欧諸国(スカンジナビア)とのつながりとして、「バイキングがコンスタンチノープル(今のイスタンブール)からスカンジナビアに運んだ」という逸話がよく語られます(例えば資料(1))。しかし、料理考古学者の Daniel Serra によれば、この説は間違いで、その証拠は何もないとのことです(2)。ただ、同記事によれば、北欧の国民がカルダモン好きなのはやはり確かで、スウェーデン人のひとりあたりカルダモン消費量は中央値の国の18倍、ノルウェー人にいたっては約30倍だそうです。

(1) ジル・ノーマン著「世界のハーブ&スパイス大事典」P182 主婦と生活社 (2017)
(2) The Hidden History of Scandinavia's Love of Cardamom(2018年12月25日閲覧)

(5) カルダモンの栽培

結論としては日本で栽培するのは難しいようです。高温だけでなく熱帯の高湿条件が必須のため、本気で栽培しようとしたら植物園レベルの設備が必要となりそうです(第8章)。生産できる場所が限られるのもカルダモンが高価となる要因のひとつとなっています。


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