カルダモンについて
3.カルダモンの概要
(1) 分類
- 科: ショウガ科(Zingiberaceae Martinov)
- 属: ショウズク属(Elettaria Maton)
- 学名:Elettaria cardamomum
- 一般名:カルダモン
カルダモンはショウガ科の多年草です。カルダモンは、「スパイスの王」として知られているブラックペッパーに対し「スパイスの女王」と呼ばれています。カルダモンの熟した実を乾燥させたものは、紀元前4世紀からスパイス及び薬として使われてきました。
カルダモンという名称は、Amomum、Aframomum、およびショウズク属の他のいくつかの種子にも使われます。「真のカルダモン」以外にカルダモンの名称が用いられることがある主要な植物は以下のとおりです。
- Amomum subulatum(大型カルダモン、ネパールカルダモン、ブラックカルダモン):インド北東部で栽培されています。果実は大きく、真のカルダモンに比べ味と香りは繊細ではありません。肉料理やピクルスに使用されます。
- Elettaria ensal(スリランカの野生カルダモン):形態学的には真のカルダモンと似ていますが、直立した穂とより細長い果実(3-5 cm)を持つ、より丈夫な植物です。果実の化学的組成は本来のカルダモンとは大きく異なります。
- Aframomum corrorima(コラリマカルダモン、楽園の穀物):エチオピアやナイジェリアなどのいくつかのアフリカ諸国で小規模に栽培されています。
[以下では、基本的に「真のカルダモン」について記述します。]
(2) 地理と分布
カルダモンはインド南部の西ガーツ山脈原産です。
現在ではカルダモンはインド以外の熱帯アジア諸国に広く分布しています。また、グアテマラ、スリランカ、パプアニューギニア、タンザニアなどで作物として栽培されています。
(3) 植物としての特徴
概要:多年生の草本植物で、最大6 mの高さに成長します。新芽は根茎から発生し、ひとつの根茎から最大20枚の厚い葉が成長します。
葉:濃い緑色で長く剣状の形となります。下側はより色が薄く、細かな毛でおおわれることがあります。
花:長さ1メートル以上に達する花茎に開花します。薄緑色の花には雄しべと雌しべの両方があります。花びらのうちの1枚は白色で、紫色のスジ模様があります。
果実:薄緑色から黄色をした細長い楕円形で、果実の中は3つの部屋に分かれています。それぞれの部屋は長さ約3 mmの小さな香りのある種で満たされています。果実や種子は乾燥すると褐色となり、香味料として広く使用されます。
熱帯植物学者・ショウガ科研究者の船越英伸博士がインド・ケララ州で撮影されたカルダモンの写真を提供いただきました。栽培の様子やカルダモンの特徴がよく分かる写真となっていますので許可を得て以下に掲載します。
カルダモンについて:目次
本コンテンツは、Kew Species Profiles を著作者とする「Elettaria cardamomum (L.) Maton」(2018年12月25日閲覧)をAttribution - Non Commercial- Share Alike 3.0 (CC BY-NC-SA 3.0) のライセンスに基づき、管理人が和訳・掲載したものです。文章中、[]内は管理人による注釈を示します。
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